R.E.M at 武道館

 頭丸めて九段下に行く。一応言っとくと靖国に用があるわけではない。R.E.M. の公演を見に武道館に行ったのである。頭まるめたのもマイケル・スタイプにあやかったというわけではないのだが、はたから見たらどう見えただろうか。
 10年前の前回の来日の時は、私は受験生でその前日も、当日も、翌日も私大の受験で、都内にいたにもかかわらず、見に行くことはかなわなかった。叔父の家に泊まりながら、新聞の夕刊にのっていた渋谷陽一(だったはず)のライブレポートを歯軋りしながら読んでいた。
 そのときはまさか10年も来ないとは思っていなかった。「New Adventure〜」の時は確かツアーをしないというのは言われていたのだが、「UP」が出たときも、「Reveal」が出たときも結局来日はなかった。
 さて待ちに待った来日公演。当時特に取柄のない男子高校生は無気力なまま問題を多く抱えて30代になろうとしているよ。オープニングアクトのビーズ直系の和製ハードロックバンドが終わりすぐR.E.M. が出てくるかと思いきや、10数分以上待たされる。7時半を過ぎたあたりからようやく開演。
 初めてなまで見たマイケル・スタイプは想像以上に格好よかった。ただ立っているだけなのにものすげえ格好いい。歌めちゃくちゃうめえし。近作「Around the Sun」からの曲でとくにそのボーカルが目立つ。中盤にやった"Election Blue"が個人的にはかなりきた。そして中盤といえば、代表曲の"Orange Crush"。演奏後の会場のテンションはもの凄いことに。みんなずっとR.E.M. 見たかったんだろうな。圧巻は後半の"One I Love"〜"Walk Unafraid"〜"Imitation of Life"〜"Losing my Religion"の代表曲攻め。"Losing〜"とアンコールラストの"Man on the Moon"を合唱しながら(10数年以上にわたり一人部屋で歌っていた曲なので歌詞は完璧)、ああ俺はこれを10年も待ってたんだよと深い感慨にふける。終演後しばし虚脱状態に。
 帰宅後はCDひっぱりでして余韻に浸っている。今ものすごい幸せ。とりあえず、"See you next time"がまた10年かからないことを信じる。
 「Monster」の日本盤のライナー読み返していて気がついたけど、"What's the Frequency Kenneth" って去年日本でも話題になったダン・ラザーにまつわる話だったんだな。気違いが、"What's the Frequency Kenneth"ってさけびながら誰かを襲ったんだよなということは憶えていたんだが。去年本国でもスタイプはこれやったんだろうか。代表曲だからそりゃやるか。
 武道館という場所に関しては、「僕らがティーンエイジャーのころ、Cheap Trickのレコードで「At Budoukan」っていうのがあって・・・」というMCがいかにもで楽しかった。ああ、また見たいなあ。