「江戸の怪し」展

原宿の太田記念美術館に「江戸の怪し」展を見に行く。
妖怪、幽霊、鬼、妖術師とコーナーが分かれている。傾向としては有名な主題が多い。まあ妖術師などはどうしてもそうなってしまうが、そのほかのものも渡辺綱源頼光羅生門の鬼、刑部姫などなど。無名人の幽霊などはほとんどない。その点が全生庵とは違う感じ。
作者に目を向けると、月岡(大蘇)芳年が多い。個人的にポイント高し。
印象に残ったものとしてはまず、ユーモラスな閻魔様があった。通常死者の生前の行いを映す閻魔鏡に何の手違いかで美女が映し出される。それを閻魔様がでれでれした顔で見ているというもの。コミカルで面白い。
舞台になった場所を知っているという点では私の地元が舞台のかさね関係や王子に集まるキツネたちも面白かった。特に後者の歌川広重飛鳥山狐の嫁入り」はなだらかな起伏の地と咲いている桜が現代の飛鳥山公園を思わせ興味深かった。
個人的に一番感銘をうけたのは大蘇芳年の「源氏夕顔巻」。源氏物語に題をとったものでジャンルとしては幽霊画。月夜に咲く夕顔(花)の中現れる夕顔(こっちは人名)の霊。構図も見事なら夕顔(霊)の書き込みも見事。武者絵から美人画、無残絵など幅広い作風を誇っただけはある。幻想的で美しい。必見です。