海野十三「地球盗難」読了。異星人による侵略とマッドなサイエンティスト。意外なほど直球。ただ後半良くわからないままに終わってしまう。解説で述べられている解釈はなるほどと思わないでもないのだが、そうすると異星人と博士との間ではどんなコンセンサスが出来ていたのか疑問もわいてくる。読者のほうでそこまで補完する必要があるのかという点で娯楽小説としてはどうよという気がしないでもない。
個人的に一番ヒットしたのは、舞台となっている村の名前。宇宙人がこっそりやってきているその村の名は「矢追」村。
ラストで国際放送で演説をかます「欧州の盟主ヒットリーニ」というのはやはり当時の独伊の元首を組み合わせたのもなのだろうな。
異星人の襲来によって地球人が団結し紛争が収まるというアイデアは乱歩も「宇宙怪人」でかなり変った形ではあるが使用していたな。
なんつうか海野の作品は本来とは違った楽しみ方が出来るんだよな。