夢野久作「創作人物の名前について」

登場人物の名前って大事なんだけど、考えんの大変なんだよねという趣旨のエッセイ。

 大正七年頃であったか、何とかいう飛行将校が夫婦相談の上で、今度生まれる子を男の児ときめてナポレオンという名前にきめているところへ女の子が生まれたというのでナポ子と附けたという話が新聞に出ていたが、吾が子なら構わないかも知れないが、小説は売り物だからそうはいかない。読者を馬鹿にしているといって噴られてしまうにきまっている。
 そのほか与謝野オーギスト、今井手川四郎五郎左衛門、股毛一寸六、福田メリ子なんていうのは実在の人物ではあるが、小説の場合ではちょっと通用し難いようである。

今なら問題なく登場人物の名前として使えそうだよな、ジャンルにもよるかもしれんけど。しかし、ナポ子・・・。当て字で奈保子とか漢字当ててたらまだ救いようがあるが。