稲垣足穂「少年愛の美学」

凄いよ。何を言っているのか解らん。

われわれは「共同体」に属して、食堂的存在であり、またトイレ的存在である。食堂は複数で、トイレは大旨単数である。しかも只ひとりでいる時の伴侶は、P感覚でもV感覚でもない。それはA感覚である。こういう意味で、「お尻」は「人」と同義語である。ためしに次のような単語の「コウ」を「肛」におきかえてみよ!高野山弘法大師幸若舞、香気、講道館、攻玉舎、公爵、校長、高士、高級、恒例、工員、公務員、公開実験、交通機関、行動派、硬派、高弟、膏薬、黄禍、後患、公徳、公選、鴻恩、行人、行楽、交歓、幸福、厚志、交情、好意、後見……いずれも間違いなく成立する。中でも、光音天、興聖寺広隆寺紅楼夢、孔門の十哲、校友会、工事現場、好事魔多し、鴻門破り、後納、後楽園、好色一代男、紅一点、紅衛兵、光陰矢の如し、高射砲、工学博士、公安委員会、公教要理、講和条約、皇国興廃、公衆便所、後期印象派などはそれぞれに傑作である。

ためしてみよう。「肛道館」柔道?「肛開実験」立ち会いたくはない。「肛通機関」以外に普通。「肛動派」あんまり想像したくないが「肛止派」とかと対立したりするんだろうか。「肛友会」読んだまんまか。「肛衛兵」…もうやめよう。