怪談佐賀屋敷

怪談佐賀屋敷(1953)を見る。化け猫もの。余談だが京極夏彦の「薔薇十字探偵の蓋然」で探偵が見たという「怪猫佐賀屋敷」とは恐らくこれ(「有馬御殿」より前だし)。
ストーリーは王道。ちょっとばかし思慮に欠けるお殿様(平凡未満、馬鹿殿以上。映画のタイトルから察しがつくとおり鍋島家)を家老がうまいこと操って政敵(こっちも定番、竜造寺。検校と呼ばれている通り盲人)を殺害してしまう。殺害された竜造寺検校は老母の夢枕に立って無念を訴える。息子が殺害されたことを知った老母は殿様と家老を呪い自害する。竜造寺の飼い猫がそんな主人の恨みをはらそうと化け猫となり怪異をおこしていく。
前半は普通の時代劇という感じ。中盤あたりから特撮をまじえた怪談らしい場面(斬った碁盤から血が噴出したり、検校の生首が哄笑したり、猫の顔が空に浮かんだり)が続き、ラストは大立ち回り。家中総出で化け猫退治。なぎなた持った腰元集団と武士たちを化け猫が飛び回って翻弄する。さながら逆暴れん坊将軍
猫好きとしては見所はやっぱり猫。かわいいね。化け猫物の感想で「猫かわいい」ってどうかと思うが。撮影スタッフの方凝視してねえか?という場面もあるが、一応演技らしきことをしている。登城しようとする主人の着物の裾をひっぱってとめたり(裾の部分に味つけたのかな?)、自害した老母の血をなめたり。ちなみに後者のシーンは猫が魔性をおびるきっかけともいえるシーンで日常的な前半部分から非日常的な後半部分への移行を象徴する重要なシーン。私と同居人(病的な猫好き)はそのシーンを「にゃんこが血なめてるよ、かわいいなあ」などと言いながら見てました。
化け猫ものなので当然化け猫も見所。CGなんて当然ない。着ぐるみも使ってない。メイク頑張っています。迫力あります。山姥といっても通っちゃいそうだけど。死体操って遊ぶシーンなどは音楽と相まってかなりいい感じ。普通の人間の姿から化け猫の正体を現す過程では猫耳も見えます。別にかわいくないけれど。
化け猫役をやった入江たか子(これが当たり役となり以後の化け猫物をやっている)は見覚えがあるので、多分私が見た「瀧の白糸」はこの人が主演のやつじゃないかなあ(大学で活弁付きで見た。なつかしい)。後お殿様演じている人は長門裕之津川雅彦の親父さんだそうな。しゃべり方とか顔つきとかなんとなく似てました。
これ以降の化け猫物も見たいのお。