内田百輭「壁隣り」

百輭集成「忙中謝客」収録。
作中の東大の描写

「暗い道の向こうに正門前の明るい大通の燈火が見える。そちらに向かって、石の柱の正門をくぐる。私が東京に来てから出来た門で、当時の総長浜尾新子爵が建てたのである」

浜尾、子爵・・・十中八九浜尾四郎の一族だと思い手近な資料を調べてみる。養父だった。浜尾四郎の生家の加藤男爵家からも東大の総長を出しているらしい(浜尾四郎の祖父)。その関係で養子入りしたのだろうか。それは納得なのだが、その過程で浜尾四郎と古河ロッパが実の兄弟だと知りびっくり。