東雅夫(編)「リトル・リトル・クトゥルー」

800字という時数でクトゥルー神話譚を作成するというコンセプトにまず興味をひかれた。
とはいえ、この制限だとどうしても既存設定を取り入れて・・・という発想に流れてしまいがちになる。それを見越した上での「やれやれ、また魚か」はうまい。ただ、あまりに的確過ぎて逆に洒落になってないというか、なんというか。好みの問題も少なからずあるだろうけど、質のばらつきはどうしても感じてしまう(まあ本家だって似たようなもんだけど)。
100編以上あるため、それでもヴァリエーションに富んでおり、最後まで読み通せば気に入ったものはいくつか見つかるのでは。
個人的にはコミカルにまとめたものが気に入っている。「ダゴン密教団日本支部」シリーズとか。まあ一冊丸々このトーンだときついだろうけど。
なお、「クトゥルー」って何?って人が読んでも全く面白くないと思います。