原子怪獣あらわる

HRS-21012009-08-11

ハリーハウゼンが特撮を担当した最初期の作品。
ブラッドベリの短編「霧笛」が原作ということになっているが、特典映像のハリーハウゼンブラッドベリトークショーでの発言によると微妙な紆余曲折があったっぽい。
ちなみに全くの別物と思った方が良い。
ストーリーは北極の水爆実験によって目覚めた恐竜が様々な場所で暴れて挙句、ニューヨークに上陸、大暴れのすえに倒されるというもの。街中での大暴れはロストワールドキングコング以来の怪獣映画のお約束なのでおいておくとして、日本人ならだれしもがゴジラを連想せずにはいられない。
ちなみに映画の公開は本国ではゴジラの前年、日本での公開はゴジラより後。
ゴジラに影響を与えたと記している文章などもある。
ストーリーライティングを担当した香山滋のエッセイにはこの映画については一切出てこない。当時の情報伝達速度からすると知らなかったのではないか?ブラッドベリの短編の方はどうなんだろう?乱歩のエッセイなどから判断すると、海外SFの伝達速度はミステリよりも遅そうだしな。
まあ恐竜という企画は東宝持ち込みのはずなので、香山が触れないのはある意味当然か。
ゴジラの背景に大きな影響があったと言われる第五福竜丸事件よりもこの映画は前。だが、原水爆実験はこの時代かなり行われている。「ハリーハウゼン大全」でハリーハウゼンも当時は爆弾ですべて解決してしまおうという風潮があったと述べている。
また、その脅威が恐竜という形で表象されるのかについては巽孝之「恐竜のアメリカ」で考察されていたはず。
内容は特に特記すべきところはなし。ひたすら恐竜の造形を楽しむべし。
しかし、ハリーハウゼンのキャラクターは頭でかい傾向にあるね。直近での撮影に耐えるようにするとそうなるのだろうか?
また、着ぐるみ+ミニチュアセットの怪獣ものになれていると、恐竜と人間や背景の大きさの比率がちょっと気になる。
日本のものとはまた違った古き良き特撮という感じ。