グラムシ・セレクション

スキャンする前にもう一度読んでみた。

政治的人間が、自分の時代の芸術に特定の文化的世界を表現するよう圧力をかけることは、政治的行為であって芸術批評ではない。新しい文化を目指して闘っている文化世界が、生きた必然的事実であるなら、その膨張力は抑えることはできず、その文化的世界は自己の芸術家を見いだすであろう。

(P96)

バビットとは「近代的アメリカの工業家の原型」である。……それは近代工業家が到着すべきモデルであり、順応すべき社会的タイプである。アメリカのプチ・ブルジョワの切なる願いは、このバビットと親交を結んでその仲間になることであり、彼らの道徳的・社会的「優位性」を誇示することである。他方、ヨーロッパのバビットにとってのモデルとタイプは、大聖堂の参事会員や田舎出の下院議員や内閣の局長たちによって与えられている。……概してヨーロッパの知識人たちは、バビットを純粋にアメリカ的タイプと考えており、自らは古いヨーロッパを喜んでいる。こうした反アメリカニズムは、愚かというよりはむしろ滑稽である。

(P120)
「バビット」の翻訳でないかな。文学史、文化史的にはルイスって結構重要だと思うのだが。