ボルヘス「ナサニエル・ホーソン」

すでに示唆した通り、私たちは十九世紀初めのホーソンの物語のなかに、二十世紀初頭に書かれたカフカの物語を際立たせているのと同じ特徴を見出すのですが、私たちはこの状況、この不思議な状況を認めると同時に、ホーソンの特質がカフカによって創られた、あるいは決定されたということを忘れてはなりません。「ウェイクフィールド」はフランツ・カフカを予表している。けれども、カフカは「ウェイクフィールド」の読みを修正し、洗練するのです。借りは五分五分ということになります。すぐれた作家は自分の先駆者たちを創る。彼は彼らを創り、ともかくも彼らを正当化するのです。たとえば、もしシェイクスピアがいなかったら、マーロウは何程の作家だったのでしょうか?

エリオットの形而上詩人評価も同じようなものか。
父の権威を否定するのに祖父の権威を利用する的な。