都筑道夫「推理作家の出来るまで」下巻

「軽井沢の冷たい水」より

探偵小説は戦争で圧迫され、戦後に息をふきかえして、さかんになるかに見えたが、十年とはつづかなかった。大ざっぱで、無遠慮ないいかたをすれば、本誌、別冊、また別冊、雑誌が数を出そうとして、基礎の修行のできていない新人を、なんでもかんでも、押しだしたせいで、読者に愛想をつかされたのである。あきらめのいい新人はどんどん筆を折っていったが、なんとか食っていこうとした人たちは、わざか三誌の専門雑誌にたよって、なんとか息をついていた。

氏がEQMMの編集をやっていた当時の回想なので大体五〇年くらいまえか。
小説に限らず、ポピュラーミュージック、漫画などのエンターテイメント業界共通の変わらぬ姿ってとこかね