「キャプテンフューチャー全集」

ハミルトンのスペースオペラキャプテンフューチャー全集」の2巻を読む。
主に1940年代に書かれた作品で、宇宙で西部劇のようなものをしているというと解り易いかもしれない。
乱歩はみずからの通俗明智物を名探偵と怪人によるチャンバラ物などと表現していたが、この作品もそんな感じ。マッチョで天才科学者のキャプテン・フューチャーことカーティス・ニュートンが宇宙に害をもたらす謎の悪人(「宇宙帝王」、「破壊王」など)と対決する。敵の悪人も仰々しい名前のわりには正体は小役人だったり、学者だったりする。その辺も明智ものに似ているかもしれない。
話のパターンとしては悪人の太陽系政府への宣戦布告から始まり、フューチャーが事件にのりだし、敵の罠にはまりピンチにおちいる。しかし持ち前の知恵と勇気で虎口を脱し、最終的には勝利を得るという感じ。4話ほど読んだが今までのところこのパターンをはずしたものは無かった。
他愛もないといえば、その通りだがこれがまた非常に面白い。10代の頃はパターンやマンネリといったものを一段低く見ていたのだが、こういうパルプフィクションものを読むにつれ考えを改めた。そもそもパターンというものを押さえているからこそ、そこからのハズシ、逸脱というのもが解るわけであって。
あるパターンを守りつつ、その制約の中でいかにして以前と違うものを作るのか、そういった作品に最近関心が向きつつある。都筑道夫のエッセイ、作品を読んでの影響かもしれない。