横溝正史の少年物

角川で出ていた横溝正史の少年物を大量に古本屋で入手したのでまとめ読みをしていた。「怪獣男爵」と「夜光怪人」が面白かったのだが、前者には青沼春泥という人物が、後者には大江蘭堂という人物が登場する。友人であり、少年ものでも大家でもあった乱歩へのオマージュなのだろうか。
乱歩は大江性の人物を作中に何度か登場させている。大江蘭堂という「夜光怪人」と同名の人物が「恐怖王」に登場している。また春泥というとどうしても「陰獣」にでてくる乱歩の分身ともいうべき大江春泥を連想してしまう。
「夜光怪人」は金田一が探偵として出てくる。後半獄門島をちょっと訪れるのだが、初めて訪れるという設定になっている(「獄門島」の登場人物もちゃんとでてくるのに)。なんでだべ?と思って横溝正史のファンページを検索していたら答えがあった。もともとこの作品は由利先生ものとして書かれたものを金田一ものとしてリライトしたものらしい(光文社乱歩全集のような詳注が欲しいな)。
ちなみに由利麟太郎は金田一耕助と比べると知名度は落ちるけれどこちらも横溝正史が創造した名探偵。登場は金田一(戦後)よりも早く戦前の作品から登場している。いまだと扶桑社からでている「真珠郎」や春陽堂の「蝶々殺人事件」などでその活躍が楽しめる。特に前者はおすすめ。