レム「捜査」

ソラリスで有名なレムの警察小説。古本で安価だったので購入。
誰もいないはずの空間から(いわゆる密室も含む)死体が消え、他の場所で発見されるという事件が発生。
この事件の担当に当てられた警官の視点から事件を追いかける過程を描いている。
一見ミステリのようだが実は解決が与えられるわけでもなければ、論理的な解説すらされない。超常現象かどうかもはっきりしないためSFやファンタジーの類でもない。作中で皮肉まじりに新聞などがUFOの仕業とかいいだすぞという話もでるが、それやったらまんまエド・ウッドのプラン9だし。死体が人を襲って、襲われた奴も同じようになればホラーだがそんな展開もない。
そう考えると下手に解決つけるとB級エンターテイメントになりかねないな。
この作品、不条理っちゃあ不条理だけど、面白いのは事件の不条理さ(これも相当のものだけど)よりも担当をまかされた主人公をめぐる不条理さのほうがインパクトがある。上司や学者など周囲の人間は曲者ばかり。特に上司は神出鬼没で何かをつかんでいるそぶりだけは見せる(口では否定するが)。いやんなる要素しかない(といってもこの主人公も突拍子も無いアレゲなことするが)。
事件そのものは非現実的だが、それを取り巻く人間たちの行動が妙にリアルでそのギャップが面白い。