戸板康二「中村雅楽全集(2)」

このシリーズは芸能記者である竹野(「私」)が持ち込む謎を、老歌舞伎俳優中村雅楽が話を聞いただけで解いていくというのを基本パターンとしている(ちなみに著者は歌舞伎研究家としても著名)。この二人の職業柄、芸能界周りの話題が多い。
この巻に収録されている1974年発表の「西の桟敷」には次のような記述がある。

つい先週も、映画俳優の夫婦が生後六ヶ月の長女を誘拐された。

これはこの後に続く犯人逮捕の顛末も含め、明らかに実際の事件が念頭にある(誘拐された子供の年が微妙に異なってはいるが…)。
ちなみにその俳優の夫婦は共に今現在でも映画、ドラマのみならずバラエティでも現役大活躍中である。