「囚人のジレンマ」読了

5日かかった。途中読んでいくのがしんどかった。といっても訳が悪いとかそういう話ではない。むしろ訳注の詳しさと併せても良い出来だと思う。
この話の柱のひとつである家族のやり取りが肌にあわないというか、読んでいてしんどい。歴史や回想(?)といった他のパートは結構たのしく読めたのだが。特に表紙の人物(この装丁は良い)にまつわる話は非常に興味深い。
アメリカ文学では逃げ出す男たちを描く傑作が多い。「ハック・フィン」しかり、「路上」しかり。アンダーソンの「ワインズバーグ、オハイオ」もそうだしウルフの「天使〜」も入れて良いだろう。ただ、置いて行かれる側からの視点が主というのは珍しいかと。その点は新鮮だった。