トクヴィル「アメリカのデモクラシー」二巻(下)

戦争が長引き、ついには全市民を平和な仕事から切り離し、彼らの小さな事業を失敗させてしまうと、彼らに平和をあれほど大事に思わせたその同じ情熱が一転して武器に向かうことがある。戦争はあらゆる産業を破壊しつくすと、それ自体が最大で唯一の産業となり、そうなると、平等から生まれる熱烈で野心的な欲望はあらゆるところから戦争の方向にしか向かわなくなる。民主的国民を戦場に引き込むのはあれほど難しいのに、武器をもたせるのに成功すると、時として彼らが驚くべき戦果をあげるのはこの理由のためである。

(第三部24章)