内田魯庵「思い出す人々」

明治〜大正期の文人内田魯庵による同時代人の回想。
文学、芸術畑の人間が中心だが、大杉栄の回想なども入っている(彼の無くなる前一か月くらい同じ番地に住んでいたとか)。
出て来る文人は高校国語レベルの文学史知識しかない私でも知っている超大物ばかり。
一番ページが割かれているのはロシア文学つながりからか、二葉亭。逍遥、紅葉、鴎外、露伴漱石と続いていく。
テンポのいい語り口で読みやすく、織り込まれるエピソードも興味深い。流石に取り上げられてる人物に対しての知識が一切ないとつらいけれども。
黒岩涙香尾崎紅葉を読売から万朝報に引き抜こうとしていた話が個人的に興味深かった。また、余命いくばくもない紅葉が丸善魯庵のもとに、ブリタニカを買いに来た時のやりとりもなかなか。結局これが最後の会見になったとのこと。