H・C・ベイリーのフォーチュン物

ベイリーのフォーチュン譚一作目の「フォーチュン氏を呼べ」と選集の「フォーチュン氏の事件簿」を一気読み。
翻訳は前者が2006年(原書は1920年)、後者が1977年の出版となる。
内容は流石に選りすぐった「事件簿」のほうがクオリティもヴァラエティも上だが、キャラクターを理解する上では、一作目から読んだ方がわかりやすい。
しかし最初のころは事件に関与するの微妙に渋っている。どこかで心境の変化でもあったのだろうか。
フォーチュン氏は医者を生業とし、MAでMBでBChでFRCSの肩書を持っている。文学修士で医学学士、科学学士で、医師会の会員とのこと。一応作中で文学的素養および科学知識が役にたつシーンはあるので(悲しいかな前者の知識は事件解決にはあまり関係してないが)、無意味な設定ではない。
ちょっとシニカルな所がイギリスぽいなあ。正直、一作目を読んだ時はこなれてないというか、ストーリーが全体的に唐突な印象があって微妙だなと思ったのだが、「事件簿」収録作は結構複雑なものもあり、その作品の変遷を追ってみたいという気になった。でも原書で読むのもしんどそうだしな・・・。