ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ「パターソン」より

アメリモダニズム詩を代表する一人。国外にその活動拠点を求めたパウンドやエリオットと対照的にアメリカ国内にとどまる。ホイットマンギンズバーグをつなぐ人物。
第三巻?より

四月のことを歌ったのはだれだったか。ある
気のふれた技術者だ。繰り返しなどはない。
過去は死ぬのだ。女たちは
法律尊重主義者で、法律という枠組、
習慣という骨格、過去という
硬化した巣を守りたがり、
ハチとなってそこにせっせと蜜を
貯めこんでいる…

そんなことをしてはならない。水に
浸されてカーテンも朽ちた。布目も
腐食している。その機構から
肉体を解きはなて。これ以上
橋を架けるな。どの空を飛んで
大陸と大陸をつなぐ気なのだ?とにかく
言葉を振り落とせ―はすかいに
愛と出くわすかもしれない。だがめったには
ないだろう。多くを救おうとしすぎるのだ、
洪水はじゅうぶん仕事をした…