F・L・アレン「シンス・イエスタデイ」より

1920年代を描いた「オンリー・イエスタデイ」に続き、1930年代のアメリカを描いたのが本作。
1932年、経済不況のただなか、共和党は大統領候補に現職のフォーヴァーを擁立。
それに対して民主党はF・ルーズヴェルトを大統領候補に指名した。
アレンによるルーズヴェルト候補評

一九三二年のこの夏は、諸情勢が急速に動きを見せはじめ、さまざまなアイディアが沸騰し、協議はいくつにも分裂した。が、この民主党の大統領候補ローズヴェルトは機を見るに敏な男だった。彼は何かを固守するよりも、岐路に立っているほうが失うものが少なく、公平を実行するよりも、公平について語っているほうが得策だということを心得ていた。

周知の通り、ルーズヴェルトは強権を持って経済を初めとした内憂を乗り切り、彼自身は終了直前に急死したとはいえ、戦争にも勝利し、大統領の最長任期記録も持っている。
では、わが国の民主党政権はいかに。
少なくとも、「公平を実行するよりも、公平について語っているほうが得策だということを心得ていた」については共通しているようだが。さて。