橘外男「陰獣トリステサ」

澁澤龍彦による選集の復刊。
表題作に加え、「青白き裸女群像」「妖花イレーネ」の2作も収録。
表題作は「青白き〜」は著者お得意の異種婚モノの系列。
後者は厳密に言うと異なるが、亜流としてよいのではと思う。
(差別的だ!と怒られそうだけど)
美女(ヨーロッパ人)が異形の怪物に蹂躪されるというテーマ好きだよな。ヴァリエーションもついてるし。
まあ、作者が好きなのか、読者受けが良くて需要があったからなのかは不明だが。
「イレーネ」はタイトルに偽りありな感じも。
ただ、ある種のほら話的というか、奇想にもっともらしい細部を添えて描きだす手法はやっぱり見事。
難を言うと、「青白き〜」だけはちょっと読み難かった。複数の文体の使い分けにちょっと違和感を感じてしまった。
しかし、「トリステサ」は戦後すぐか。雑誌に獣奸ものなんてのせちゃって良かったのかね。
掲載誌の「ホープ」ってカストリ誌に入るのかな?ここら辺の資料って何かないだろうか。調べてみると面白そうなんだが。