「敗戦日記」

海野十三の「敗戦日記」を読んでいる。回想とは違うリアルタイムならではのなまなましさがある。
元旦に読んだ俳句が「ちらちらと敵弾燃えて年明くる」というのは重い。
政府発表やそれに対する感想などものっていて興味深い。そしてそんな中でも日々の生活が営まれている。それは当たり前のことなのだろうけど数十年後全く違った世の中を生きている私にとっては想像もつかない。
1月4日の日記では、焼夷弾による火災の中消火活動に活躍した知人の話のなかから、重要そうな部分をまとめて書き記している。「落ちた瞬間、あたりは火の海となる。そのとき茫然自失してはいけない」とか「火事になりそうなものを早く消す」といったあたりは現代の災害時にも役に立ちそうな点である。しかし「手を負傷した者まで担架で運ぶのはどうかと思う」とか「カンフルばかり医者はうつ」などは・・・。とはいってもこれらも案外現在でも洒落になっていなかったりするかもしれない。急な災害時に優先順位をつけて適切な処置をおこなうというのは訓練を受けていても簡単にはいかないだろうし。まあ現実が私の小さな不安なんかよりもずっとしっかりしたものであることを祈りましょう。