心霊探偵もの

カーナッキ、グランダンという海外の古典オカルト探偵もの2作読了。心霊探偵ものというと個人的には都筑道夫の「物部太郎」シリーズが最高峰。
一口に心霊探偵ものといっても作品によって傾向というか、ジャンルそのものも大きく違ってくる。
物部太郎ものは完全にミステリで、心霊探偵の看板を掲げているのは依頼がほとんど来なくて仕事をしなくてよいだろうという発想から。
逆に怪奇現象が普通に起こるホラー、ファンタジーな分野のものとしては「タイタス・クロウ」シリーズなどがある。日本だと小説よりも漫画の分野に多い印象がある。
またこのようにホラー、ミステリ双方にまたがって話が作れるからか、事件に一応論理的な説明が付けられるも、何か割り切れないものが残るというような含みをもたせた作品もある(都筑道夫の「雪崩連太郎」などがこのパターン)。このパターンははまったときの破壊力がでかい。
カーナッキ物は1910年代というかなり早い時期の作品だが、上記3パターンすべてを満たしている。本当に超常的な怪奇現象もあれば、人為的に装われた物も、どちらとも判断できないもののある。「Ghost Finder」(作者ホジスンの造語。幽霊狩人と訳されている)の肩書を持つカーナッキだが、GhostをFindするということは同時に、Ghostによるものでない現象もきっちり見抜けなければいけないわけで、様々なパターンがあることはおかしくはないのだが。全体を通して、面白いというよりは興味深いという印象。
グランダン物はウィアードテイルズに連載されていたらしい。どこか橘外男の人獣ものや小栗らの秘鏡探検物に通じるにおいがして、面白かった。
心霊現象や怪物(のようなもの)と対決したりするのだが、カーナッキと違って、魔術書の類などは用いない(民間の伝承や伝説の知識は豊富だが)。ゾンビや吸血鬼、ポルターガイストなどヴァリエーションも豊富で、ツボを押さえている。また妙な理屈をつけて事件を説明するのも見どころ。