最近読んだ本

ポール・ドハティー「赤き死の訪れ」
中世イギリスを舞台にしたシリーズ2作目。
冒頭前作のイメージからは大分違う雰囲気のシーンから始まる。まあ、次の章からは元に戻るのであるが、この一見すると本筋とは無関係そうな場面を本編にうまくつなげてるのは見事。
修道士は今度もまた悩んでいる。まあ職業柄それが仕事のようなものだし…(偏見)。
前作では歴史上の有名人としてはジョン・オブ・ゴーントが出てきて、彼のその後を知ってるとにやっとできる場面などもあったが、今作ではジョン・ボールが出て来る。まあ話の本筋にはからんでこないが、登場人物たちが非常に気にしているのがうかがえるためか、印象は強い。アセルスタンの印象ではほとんどアジテーターのようだが。
解説では「ぴんとこないであろう」と表現されている人物で、まあそんなメジャーではないが、高校で世界史を専攻したならワットタイラーの乱にからんで、まず間違いなく教わる名前ではある。まあ、高校卒業後に耳にする人は確かにすくないだろうけど(モホロビッチ不連続面とかのようにインパクトのある名前でもないし)。
良作ではあるけれど、ストーリーそのものよりも、作中世界を覆っている微妙な暗さのほうが印象に残った。
ポール・アルテ「七番目の仮説」
これは面白かった。
こちらも出だしのインパクトが大きい。いかにもな怪人が登場。この怪人物でひっぱるのかと思いきや、場面ががらっと変わって、劇作家と俳優にまつわる奇妙な話が始まっていく。こちらが主客が目まぐるしく変化していきとても面白い。
トリック自体はシンプルで、読んでいて思いついたことがあるなら、それが正解だと考えておそらくOK。
バロネス・オルツィ「レディモリーの事件簿」
こちらは古典。ミステリ最初期の女性探偵ものの連作譚。
タイトルとシリーズタイトルらしき「ホームズのライヴァルたち」というフレーズでてっきり創元文庫かと思ったら全然違った。
最近の訳だけあって、読みやすいのが非常にポイント高し。内容は古典にありがちだが、ワトソン役の語り手が少々うっとおしいことを除けばまずまず。