三津田信三「四隅の魔」

死相学探偵ものの長編2作目。面白かったす。個人的には1作目よりも好きかも。
交霊術めいた儀式と参加者の不審な死。明らかになる過去に起きた悲劇…といったカーばりの舞台設定は流石。2作目ということもあり、主人公とその異能についての説明などを簡略化できた分、事件の描写にページを割いている(といってもこの作品から読んでも問題ないくらいには説明があるが)。ただ、事件の描写はやはり抑えめで、他作品のようなまとわりつくような不気味さは良くも悪くも少ない。
カーナッキスタイルとでもいおうか、怪異や心霊現象が認められているため、ポイントは実際の人間が起こした行動と人外の存在による行動をどのように配するかという点。ここはやはり流石というか、良く考えるなあという感じです。
また、1作目を読んでいる人には主人公の成長ぶりも見どころか。前作よりも名探偵度は上がっております。腹芸なども一応見につけ、少ししたたかになっている。
次回作にも期待。